イジワルするのはキミ限定*



だけど、涙はジワジワとあふれてきて。



「……っグスッ」



水沢くんにとって大事なのは、“完璧な王子様”っていう自分。



だから、私のことなんて好きでもなんでもない。



それを今、改めて痛感した……。




「……え、ちょ、柚子どうしたの!?なんで泣いてるの!?てか、メイク落ちてる!!」



「あ、サアヤちゃん……」



ポロポロと涙をこぼしてしゃがみこんでいたら、サアヤちゃんがやって来て私に合わせてしゃがんだ。



きっと、ここに来る前に舞台の様子みたらまた教室戻るって伝えてあったのに戻るの遅かったから、心配して来てくれたんだと思う。



「だいじょうぶ?もしかして、具合悪い?」



「……う、ううん!ちょっと本番前で緊張しちゃって……。メイク、直してもらえる?」