指示されたととおり、キョロキョロと視線を動かしながらセリフを発する。
「……うん、だいじょうぶ!野上さん、うまいね!」
「そ、そんなことは……!」
「野上さん、劇とかはじめてなんでしょ?なのにここまでできるとか、すげーよ!」
「いやいや!というか、大谷くんだって脚本考えたりしてるじゃん!すごいよ!」
私、そういうのやったことないしできる人尊敬するよ……。
「そんなことないよ。ただ原作のをところどころアレンジするだけだから。だれにだってできるよ」
ニコッ、と笑いながらそう言う大谷くん。
……水沢くんとは、またちがった笑い方。
大谷くんのはかわいらしくて、なんだか心があったかくなるような感じで……。
でも水沢くんのは、不敵な感じで……でもそれが水沢くんだ。
水沢くんのあの顔、意外と好きだったな…………って!!