胸がチクリと痛んだ。
ううん、チクリなんてもんじゃない、ズキズキって感じだ。
……というか私、頭の中白雪姫のことでいっぱいで気づかなかったけど。
今、水沢くんと目が合い、そらされて気がついた。
白雪姫になれた私は……ものすごくうれしい。
だって私は水沢くんが好きだし、白雪姫役になれれば水沢くんとお話しできたり近づけたりできるし。
でも……水沢くんのほうは?
水沢くんは……私が白雪姫役で、うれしい、のかな。
……うれしいわけない。
だって、召使いと主人の関係を終わりにしようって言ったのは水沢くんのほうだし、面倒ごとはイヤだと言った。
私たちが劇の練習とかでよく話すようになって、あのときみたいに女子に囲まれたりしたら?
もう次は水沢くんは守ってくれない。

