“王子様”の水沢くんが、こんなにも低い声を出すなんて。
私も、他の女子も、信じられないようだ。
現に話している三上さんは少し泣きそうな顔をしている。
「まさか、野上さんをいじめようとか、そんなこと、考えてたわけじゃないよね?」
「……っ」
「僕、そういうことするのはあまり好きじゃないな」
「……ごめん、なさい。でも、確かめたくて……」
カタカタと震える声で三上さんはそう言うと、水沢くんはハァ、とため息をついた。
「付き合ってないよ。昨日、野上さんがヤケドして、僕はその手当てをしてあげただけ。三上さんだって、僕の立場だったら同じことしてたでしょ?」
水沢くんの言葉に、三上さんはコクンとうなずく。
「はい、誤解も解けたしこの話はこれで終わりにしようか」
すると水沢くんはニコリといつものように、爽やかな笑みをみんなに向けた。

