「ほら、腕出して。冷やすよ」 「えっ……あ、はい」 首をかしげてドアのほうを見つめていると、水沢くんに声をかけられて私は腕を差し出した。 すると、ビニール袋に入った氷が腕に当てられる。 つ、冷たい……!! ブルルッと肩を震わせて冷たさを表現すると、水沢くんがなにやら不機嫌なオーラを放っていることに気がついた。 「あ、あのー……水沢くん?」 「なに」 まるで地獄から湧き上がってきたような声が部屋の中に響いた。 やっぱり怒ってらっしゃる……! こ、声がひ、低い……!!