おそるおそる前方を見たら……思ったとおりの人物がそこにいた。 やっぱり、橘さんだ……。 「お久しぶりです、柚子様」 「お、お久しぶりです橘さん……」 ニコリと営業スマイルを浮かべた橘さんに、私は苦笑いで答えた。 周りの女子からは悲鳴のような声が飛び交う。 橘さん、なにもこんな目立つところで待っていなくても……。 裏門とかで待っててもらうよう、水沢くんに言っておけばよかった、と後悔した。