「あ、あの水沢くん……っ」
「なに?」
動揺しまくる私とは反対に、冷静な水沢くん。
「お、おろしてください…」
「なんで?」
「なんでって……私、重いし、それに恥ずかしいし……」
橘さんのときは“恥ずかしい”っていうよりは驚きの方が勝ってて。
それに橘さんとは年も離れているから特に気にならないけど。
だけどいま私を抱き上げているのは水沢くんだ。
同級生だし、同じクラスだし…。
「ふーん。“恥ずかしい”んだ?じゃあなおさらやめてあげられないよね」
「ひ、ひどい!」
だけど抗議したところで水沢くんがやめてくれるわけもなく。
水沢くんはまぶしい笑顔を向けたけど、私をおろしてくれなかった。

