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「あ、あの水沢くんもどうして来たの…?」
「なに?俺が来たらいけないの?」
「い、いえ……いけなくないです」
黒のベンツの車の中。
運転席には橘さん。
後部座席には、私と水沢くんが並んで座っている。
あれからご飯をごちそうになって、お母さんにお礼を言って。
私は橘さんに家に送ってもらうことになった。
そして橘さんに横抱きされて車に乗ろうとすると、そこにはなぜか水沢くんがすでに乗っていたという…。
一体どうして来たんだろうか。
私には理由がわからないけれど、ま、いっか。
と、私は特に追求することもなく家に着くのを待った。
「着きましたよ」
ボーッとしていると橘さんの声が聞こえてきた。
窓の外をみると、そこにはたしかに私の家があった。

