もう19時過ぎたし。
お母さんに連絡はしてあるから平気だけど、いつまでも人様の家においとまするわけにもいかない。
「わ、私はそろそろお邪魔しますので……」
「もしかして、うちの夕食が食べれないっていうの?」
「え?そ、そういうわけじゃ……」
必死に首を横に振る。
それにお昼もご馳走になっちゃったし。
夕食までご馳走になってらさすがに悪いかと……。
そう思って遠慮するけれども。
「じゃあ食べていくわよね?ていうか柚子の分もう用意させたから、“食べない”は認めないけど」
ニコッとまぶしいくらいの笑顔でそう言う水沢くんのお母さん。
こ、この人の笑顔こわい!
水沢くんの性格って、絶対お母さん似だ。
いま確信した。
「そ、それじゃあご馳走になります……」
笑顔の怖いお母さんに逆らえるはずもなく、私はそう口にした。

