ドア越しに聞こえてくる男の人の声。
私をここまで運んでくれた橘さんの声だ。
水沢くんは一度顔をしかめてから、「入って」と言った。
その言葉が聞こえるとドアが開かれ、橘さんがふたり分の食事を持って現れた。
橘さんのおかげでた、助かった…。
ホッと安堵の息を吐いて私は胸をなでおろした。
「それ、そこ置いておいて」
「はい」
橘さんは言われたとおり、美味しそうなオムライスの乗ったお皿をテーブルの上に置いた。
そして橘さんがお皿を置くと、私の方を見た。
パチッと橘さんと目が合う。
「佳人様、よろしかったら包帯は私が巻きましょうか?」
橘さんの視線が私の顔から足元にいき、私の足首を見てそう言った。

