ガッチリ体を持たれて抵抗ができなくなった。 というか“佳人様”って本当にだれなのー! 「すぐ着きますので、大人しくしててくださいね」 「誘拐ですか!?」 「誘拐だなんて人聞き悪いですよ。連行と言ってください」 誘拐も連行も、この場合あまり変わらないような…。 そして私は抱っこされたまま黒いベンツの後部座席に乗せられた。 そしてスーツさんは運転席に。 「さ、行きましょう」 スーツさんがエンジンをつけて、車を発進させた。 ああ……私、どうなってしまうのだろうか。