「今日僕と会ったこと、だれにも言わないでくれないかな?」 「え……」 「じゃ、そういうことで」 「あ、水沢くん……っ!」 私が呼ぶのにも、なにも答えないで背を向けて歩いて行ってしまった水沢くん。 今のって……ほんとに水沢くん? のわりには、無愛想というかなんというか…。 いやでも、水沢くんだよね? このときの私は、水沢くんの後ろ姿を黙って見つめることしかできなかった……。