ー…



「最近名内さん、雰囲気変わったね」

「……」



ある日の夕方、仕事終わりのオフィスでの突然の男性社員からの一言に私は一瞬固まった。



「そうですか?」

「うん。なんて言うか…柔らかくなったっていうか、機嫌良いのかなって」

「いつも通りですよ」

「そう?そうは見えないんだけどなー」

「気のせいじゃないですか?私先にあがりますね」



そう流すように話しては、私は会社を後にした。



(…変わった?)

自分の雰囲気なんてものは自分では当然わからないもので、その言葉に疑問ばかりが浮かぶ冬の日。

歩き出した夜18時の街は、もう既に暗くなっている。