「でもあの映画、なかなか面白かったね」 「…まぁまぁ」 「泣くくらい感動してたのに?」 「あれは感動してたわけじゃなくてっ…」 「…?」 「…、…」 「…どうして、泣いてたの?」 「……」 「さっきも、 あの日も」 誘導されるように辿り着いた言葉に、私は思わず言葉を詰まらせる。 けれど止められた足と瞳をしっかり見つめる目は、逃してはくれない。 「…、」 街の真ん中で、立ち尽くす。