「…、…」 そんな私に気付いたように、向けられたハルの視線。 「…ご、ごめん。何でかわからないけど、涙が…」 「……」 言い繕い平気なフリをしようとする私に、彼は何も言うことはない。 ただ、黙って伸ばした指で涙を拭いて 「…、」 まだ薄暗い映画館の中、そっと触れるだけのキスをした。 恋愛映画を見て、キスなんて ベタなことしてるって思う。 けどそんな彼の体温に、涙は余計に溢れて (…離したく、ない) 心の奥、そう感じた