「あの、」 「?」 「いつも思ってたんだけど…苗字、何て読むの?」 「え?あぁ、『さわら』だよ」 「へぇ…珍しいね」 「うん、よく言われる」 何気無い疑問を問いかけた私に、彼はにこにこと返す。 「けど、『ハル』でいいよ」 「…?」 「呼び名」 「……」 「お客さんは、霞ちゃん?」 「!何で知って…」 「いつも一緒に来る友達が『霞』って呼んでるから」 「……」 意外と私たちの会話を聞いていたらしい彼のそんな言葉に、私は思わず動揺する心を誤魔化すようにグラスの中身をぐいっと飲んだ。