「信じられないんなら自分で確かめてみろよ。ついでに、好きだからそばにいてほしいって言えば」
「そんなこと……」
耳まで真っ赤に染めてまぶたをふせる。
「……で、トリックは?」
「だからないってば」
南はごふぉごふぉ咳をして、涙の浮いた目で僕をにらんだ。
「おばさんから聞いてない? 僕事故った」
「事故ぉ? 聞いてない」
額にしわを作って、首を左右に振る。
「いつ」
「一週間くらい前」
「南!」
ドアを乱暴に押し開いて、私服姿の中松が現れた。
南は首をかしげる。
「面会三時からだけど」
中松は血走った目をしている。だるだるに緩んだパーカの袖で涙をぬぐう。
「落ちついて聞けよ。俺、知らなかったんだけど、あいつ自転車で事故って、一週間前で、入院してて、けど学校きてた」
南はバケツをこそこそ背後に隠して、細い眉をつりあげた。
「落ちつくのは中松くんのほうだよ。なに言ってんだか全然わかんない」
「危篤だったらしい……。品川が死んだ」
中松はごしごし顔をふく。
あーあ。
手を見ると、色が薄くなっていた。
「品川ならここにいるけど」
南が示した場所に視線を移して、中松は眉毛をハの字にした。
もう中松には見えないのだ。
えーと。
僕はせわしなく目を動かして天使とか光とか導いてくれる霊とかを探してみる。
「あいつは、一週間前からずっと意識不明だったんだ」
いないよ……、いないじゃん。心霊特集番組の嘘つき。



