ぎ、こ、ぎ、こ、ペダルを踏んでいく。
残り少ない命だ。
僕は学校を休むことにした。幽霊ならば飛んでいけるんだろうが、いちいち自転車を漕がなければ移動できないのがちょっとだけ恨めしい。
抵抗の少ない朝の空気をかきわけながら、淡い黄色の葉っぱを浴びる。
銀杏はいつの間にかほとんど裸になっていた。永遠になくならなそうに繁っていた葉は干からびて、絨毯のように地面をおおっている。
坂のてっぺんまでつくと、思いきって両手を放してみた。
鳥のように羽ばたきながら、坂道を下る。
必死に腕を動かしているうちに体が浮かびあがった。
やった。
このまま飛んで行こう。
ぱたぱたばたばたやりながら病院にむかい、三階の真ん中の窓をノックした。
「南、南、みーなーみっ」
布団がもぞもぞと動く。
南がむくりと起きあがり、ベッドからずり落ちる。
「ちょ、どうやってそこに……」
窓にかけより、僕の足元を見て、眉間にしわをよせた。
「仕掛けは?」
「ないよ」
どうやって中に入ろう。
羽ばたくのに疲れてきて壁に手を伸ばすと、あっさり通り抜けた。
「お邪魔しまーす」



