男の子の背中に汲んで来た水を掛けて傷口を洗い流すと、思ったよりも傷は酷かった。
---早くしないと・・・
薬草の瓶と一緒に持ってきた小さなナイフで躊躇する事無く自分の腕を切り付ける
小さな傷ならば指先を少し切り付けて数滴の血で足りるけど、この傷にはある程度の量の血が必要だった。
ピュッとナイフで傷付けた腕から血が飛び散るのを確認して背中の傷口に流し込む
傷口を満遍なく血で覆った後に、用意したグラスにも血を数滴。
そのグラスに小川の水と薬草を煎じた物を混ぜて、それを男の子の口に運ぶけど意識がないから飲み込まずに口の端から零れてしまう。
---早くしないと間に合わなくなっちゃうのに!
「この方法しかなくてごめんね?」
少し躊躇したけど、命を助ける為と自分に言い聞かせてグラスを手にとって口に含む。
男の子の首の後ろを腕で支えて反対の手で顎を引いて薄く口が開いたところに自分の唇を押し当てて、それを流し込む。少しずつ零れないように・・・
コクリと男の子の喉が鳴り、それを飲み込む音が聞こえた
---良かった。これで助かる・・・

