ロックを見れば念押しされたからか顔を引き攣らせていたけど
私が語気を強めて言ったらコクコクと頷いていた。


---無表情だけど素直よね


暫く歩いて行くと前方に異界の出口が見えてきた


「ほら、あそこが出口だよ」


そう言って指を指した所にあるのは2本の対になる細い木。

その中央に立つと両手を翳してルーン(呪文)を唱える

<異界の番人よ ≪神の森≫へと繋がる扉を開き 我を導きたまえ>

唱え終えると対になっている木の間の空間がぐにゃりと歪んだ。


「さぁ、ここから出れば、お城に一番近いよ」


「・・・あぁ」


出口に向かって歩き出すと、ロックもキョロキョロしながらついて来る。

扉を潜れば、そこは≪神の森≫

まだ森の結界内だから私とロックの周りには風の守りがかかっていて
ヒュルヒュルと風の音が鼓膜を震わせていた。

結界の外までは道の両脇に咲いた月下の花を見ながら進む。

その花が途切れた所が結界との境界線。

結界を通り過ぎたのを確認してから風の守りを解く。


「この道からお城まで一直線に行けるわ」


「・・・ありがとう」


「さっきも言ったけど、絶対に無理しないでね!!」


お礼を言ったロックにもう一度、念を押す。


「わかってる」


「わかってるならいいの。じゃあ、気を付けて」


「あぁ、それじゃ」


ひらひらと手を振って歩き始めたロックを見送った。

その姿がお城の方に消えて行ったのを確かめて、私も鼻歌を歌いながら元来た道を戻った。