「久々だな。これ」
「懐かしく思っていないで、返してください」
「なぁ、どれが一番できそうなんだ?英語?」
「国語ですね」

 ほかにも高得点を狙えるものはあるが、不安なものもある。

「さっきみたいにミスするなよ」
「はい」
「そうだ。お前が全体的に成績がよかったら、なんか褒美をやる」

 これは素直に喜ぶべきなのかどうか迷う。
 顔色が変わった私を見て、先輩は少し顔を歪めた。

「どうした?自信がないのか?」
「いえ、そういうわけでは・・・・・・」

 すると、先輩は納得したような顔になった。

「わかった。お前のことだ。どうせ、なんか悪巧みでもしているんだろうって、思ったんだろ?」

 はい。その通りです。図星です。
 心の中では認めるが、もちろん本人に言ったりしない。

「何もないから安心しろよ」

 優しげな声がさらに猜疑心を強めていく。