「風音」
「何ですか?早川先輩」
「海翔でいい。次、名前を呼ばなかったらどうなるかわかるよな?」

 わからないですって言いたい。嫌な予感しかしない。

「その怯えた表情、癖になっていっている」
「そんなの、悪癖です」

 結局、あのあとはコンビニへ行って、海翔先輩は珈琲を買い、私はアイスココアを買った。
 彼に関する情報を得たことは意外にも私の家と彼の家が近かったこと、女子からかなりもてるということ、休み時間は静かな所へいることが多いということなど
 私はいろいろと質問攻めにされていて、話し過ぎたことを後悔した。その中になぜ男性恐怖症なのかという質問をされなかったので、内心ホッとしていた。私にとって、思い出したくないことだから。