誰もいない図書室に私と海翔先輩はいた。
 さっき没収された写真を一枚ずつ見ていた。夢中になっていたから気づかなかったけど、私はこんな表情をしていたんだ。

「笑っている」

 正直、写っている人物が私だとは思えなかった。

「滅多に見ないよな。今、笑って見せろって言っても、同じようにできないだろうな」

 写真をすべて見終わったので、鞄の中にしまいこんだ。

「前にお前が読んでくれた本はここのものか?」
「いえ、あれは自分で買ったものです」
「もし、お前があの立場だったら、どうする?」
「あの立場って、本気で主人公を好きになったのに、自分が主人公の心に傷をつけて、信じてもらえなくなってしまったっていう・・・・・・」
「あぁ」