ポツリとそう呟いてきた。
 そんなことを言うとは思わなかった。予想しないことばかりするな。

「お前の手が小さすぎる」
「そうですか?少し力を入れるだけで折れそうだな」

 風音はとっさに距離を置こうとしたが、俺がそれを許さなかった。

「やれやれ・・・・・・」

 冗談を言っただけなのに、これじゃあ、まだまだ先が思いやられるな。

「まぁ、いい」

 これでも出会ったときよりも距離は縮まっていっている。あらゆるものを発見することができた。
 だけど、まだ知らないことがあるはずだ。このまま終わらせない。
 向き合うように立ち、手を握ったまま、もう片方の手で頭を撫でた。
 風音は目を丸くしていた。

「お前といると、癒される。それに飽きるどころかどんどん・・・・・・」

 惹かれていく。それが強くなっていく。
 俺って、こんなに独占欲が強かったか。
 撫でるのをやめ、今度は強く抱きしめた。
 あいつは人が見ていることを気にしていたが、俺にとって重要なのは風音ただ一人だった。