希望通りに入れるものはきちんと入れて、味はもちろん、見た目も気をつけた。
 午前の授業が終わり、私は屋上へ早足で向かった。前もって、場所を決められていた。
 ドアノブを回してゆっくりと押すと、見慣れた人がすでにそこに立っていた。

「ちゃんと作ってきたな」
「そういう約束ですから」

 海翔先輩に弁当を渡すときにわずかに指先が触れた。それだけで心臓が跳ねた。

「そんなに驚かなくてもいいだろう」
「驚いていません。は、早く食べてください!」
「腹が減っているし、そうさせてもらう」

 何から食べるのかな?唐揚げ?
 最初に食べたのは卵焼きで、次に食べたのはハンバーグだった。

「お前の弁当、小さいな」
「調理実習があったので、いつものより小さめに入れてきました」
「そうか。風音、思っていたより悪くないな。少しでも味がおかしいものがあったら、何かしてやろうと思っていたのに・・・・・・」