「お頭、本当に五十人だけで邪馬台国軍に攻めにいくんでやんすか?」
山賊の一人がサツキに問う。

「そうだ。ポストとクロスバが指揮をとっている三万の軍に突っ込む。間違いなく死ぬから、来たくない奴は来なくていいぞ」


「いえ、あっしっらは頭と死ぬ時は一緒でやんす。なあ、みんな!?」



サツキの部下の忠誠心は高く、誰一人として拒否する者はいませんでした。

山賊達の狙いは、敵兵を多く殺すことではありません。彼らが狙うのは、ただただポストとクロスバの首だったのです。他の兵達には目もくれず、ひたすら敵将の命を奪いにいくというのが彼らの作戦でした。


ポストとクロスバを殺す→邪馬台国が優秀な将軍を失う→ユリア国に有利になる→フジノ王子に恩返しとなる、ということでした。