「あの日、私はあなた達が店から出てくるのを偶然見かけたのよ。そして、すぐに山本教授を問いただしたの」

「そうだったんですか。私は、山本教授とは全く何もありませんから」

「ふふっ。私が山本教授とデキてるって、かなり前から知っていたのね、あなた」

「はい。雰囲気でなんとなくわかりますよ」

「そう。知らないふりをしてくれていたのね。ありがとう」

「いえ、そんな・・・・・・」

「私のことが嫌いなんですってね、山本教授に聞いたわ」

「いや、あの、その・・・・・・」

「でも、私を尊敬してるとも言ってくれていたのよね。私もあなたを尊敬するわ。こんなに遅くまで一人で穴を掘っているなんて・・・・・・」

「いやあ、まあ趣味のようなものですよ」

「私、大人気なかったわ。自分の評価ばかりを上げようとしていた。ごめんなさい」

「いえ、とんでもないです」