ここ数日、松木の頭の中に、何か引っかかる物があった。

朝から晩まで、気になってしかたがない。
おそらく、発掘・研究に関する何かなのであるが、それが常に松木の頭にあった。
モヤモヤ感を持ちながらも、仕事には集中した。そろそろ成果がでないと、リストラの対象にもなりうる。


その日は、夜10時をまわっても松木は一人で穴を掘っていた。


「もう、何も出ないんじゃないの? ここら辺りからは・・・・・・」
そう松木に声をかけたのは、鈴木ミヨだった。

「ミヨさん、どうしたんですか? こんな時間に」

「私も山本教授と同じように、あなと二人で話したくなったのよ」

「えっ、あ、あれは、ち、違うんです」

「えー。知っているわ。ただ単に、あなたが落ち込んでいたから、お食事に行っただけなのよね」

「はい」