「まぁ、保護魔法をかけてあるから死ぬことはないかもしれないけど・・・」


そう言いながら、顔を引き攣らせたニコルは


「君のワイバーンのせいで、失神してるみたいなんだけど」


わけの分からないことを言いながら、下を指差した。


「・・・は?」


お嬢さんのせいで失神て・・・何のことだ?

ニコルの指を辿るように下を覗きこめば、括りつけられた男を気にして鬱陶しそうにブンブンと足を振りながら飛んでいたお嬢さんは


「あらま」


相変わらず、すこぶる機嫌が悪そうだ。

もしかして、ずっとこの状態で飛んでたのか?

あんなに振り回されていたんじゃ、飛び立ってすぐに気絶したんだろうな・・・なんて思っていれば


「あらま、じゃないでしょ。このまま行ったら、もうすぐ大陸を抜けて海に出ちゃうよ?」


地下神殿の入り口があるとしたら、そろそろなんじゃないの?と、呆れたように聞いてくるニコル。