「当ったり前だろ? こんなんじゃ、全っ然足りねぇよ!
あーっ、腹いっぱい飯食いてぇ~!!」


大声で叫べば


「じゃあ、その伸びきった胃袋を縫ってあげようか?」


蟀谷(こめかみ)をピクピクさせてイラついているニコルがダークな笑みを見せる。

この笑顔をしたニコルに逆らっちゃいけない事を、身を以って知った俺は


「すみません。自分で、食料調達してきます・・・」


素直に謝る。


・・・さて、何を狩ってこようかと思考を巡らせながら、きょろきょろと辺りを見回す。


「・・・・・」


手元に置いてあった剣を掴んで立ち上がれば


「───そんな時間は、無さそうだぞ」


今日、初めて口を開いた王子が、茂みの向こうを見据える。


「・・・だな」


鞘から剣を抜いて構えれば


「まったく。君が大声出すからいけないんだからね?」


隣のニコルも文句を言いながら、魔法の詠唱を唱え始めていた。