頼みの綱だった、髪留めでの捜索が絶たれた今、為す術も無く・・・

他に方法も思いつかず、時間だけが刻々と過ぎて行った。


「どうすればいい・・・」


---こんな事をしている間にもフローラは・・・


苛立たしげに視線を上げれば、ドレッシングチェストの三面鏡に映る自分の姿。

手当てを受けて、ボロボロになった服に染み込んだフローラの血が生々しかった。


---フローラ・・・


どうすれば、君を助けられる?

フローラを包み込んでいる闇を打ち消さなければ、俺の魔法は届かない。





俺の魔法・・・


「・・・そうか!」


そうだ・・・まだ、その手があったんだ!


もう一つの捜索方法を見つけた俺は、急いで部屋のカーテンを開けると窓からバルコニーへと出た。


「これなら、絶対に見つけられる」


空を見上げれば、闇の隙間から覗く月が見えた。

その正面に立ち、再び力を集約させる為に精神を集中し口を開く。


『体内に宿りし全ての力よ 我が瞳に宿り 光の先を指し示せ』


詠唱を唱えれば、体内で蠢く力が瞳に集約され熱を帯びていく。