目を離すと消えてしまいそうで、視線を人影に合わせたまま窓を開いて外に足を踏み出す。 一歩一歩、その人影に近付くほどに自分の探していた人物だと確信して、胸が高鳴っていくのを抑えられなかった。 まだ彼女は俺に気が付いていないのか、小川に手を浸していて。 「フローラ?」 驚かせないように、背後から優しく声を掛ける。 名前を呼ばれた彼女は、肩をびくりと震わせてゆっくりと振り返った。 「え・・・ロック・・・?」