怒りに任せて力を暴走させている間にも、フローラは危険な目にあっているかもしれない。

冷静になった頭で、次に成すべき事を考える。

先ずは、オリビアに連れ去られたフローラの居場所を特定しなければ、闇雲に探しても助け出す事が出来ない。


その為には・・・


顔を上げた俺は、ベッドの横に置かれたある物の前へと移動する。

それは、フローラが使っていたドレッシングチェスト。

王宮専属の家具職人に造らせたそれは、白で統一された物で。

三面鏡タイプになっていて、細部にわたって繊細な装飾が施されていた。


その中央にある引き出しへと手を伸ばして、取り出したのは彼女の髪留め。

装飾品をあまり着けたがらないフローラにしては珍しく気に入っていた物だ。


それを両手で握り締めると、体中から放たれていた力を掌に集めるように集中する。


『我が手に宿りし力よ その力を解放し 彼の者の居場所を指し示せ』