王子の前で立ち止まった陛下は、自分よりも大きくなった息子を僅かに見上げると
「そこの人狼の言った通りだ。
お前は、このガーランド王国の次期国王となる第一王子。
正妃候補も、側室候補も既に決まっておる」
この場にいる全員に聞こえるように、はっきりと言葉を発した。
だが、陛下の言葉には違和感があった。
なぜならば、王子は大の女嫌いで有名で。
間違っても、姫さんが現れる前に正妃やら、側室やらの候補が決まっていたなんて話は誰も聞いた事がない。
専ら女好きのニコルに大量の縁談話が持ち込まれていた筈。
「それは、初耳ですね。
いつ決まったんですか?そんな事」
この場にいる全員が、王子と同じ事を思っただろう。
「正式に決まったのは、つい最近だ。
お前が、やっと女性を傍に置くようになったからな」
「それは、とんだ見当違いです。
俺が傍にいたいのは、フローラだけであって他の女じゃない」
吐き捨てるように放った言葉は、陛下の考えを否定する。

