───あの時・・・
「・・・父上」
俺達の後ろに姿を見せた陛下。
人狼の言葉を肯定するかのような陛下の表情に、王子の眼光が鋭くなったのを俺は見逃さなかった。
「直接、自分の口で聞いてみればよい」
嘲るように言う人狼も、陛下に視線を投げる。
口にする事を躊躇しているのか、なかなか口を開かない陛下に
「今のシエルの話は、どこまでが本当ですか、父上?」
実の父親に向けているとは思えない、地を這うような低い声に陛下の表情も険しくなる。
---王子・・大国の国王、それも実の父親にそんなあからさまな殺気を放ったら拙くないか?
王子の態度にハラハラしちまう俺。
「・・・ロック・・」
重い口を開いて王子の名前を呼ぶ陛下は、やっぱり大国の国王で。
己に向けられた殺気を軽く受け流すと、王子の前へと歩を進める。
---陛下・・・頼むから、王子に禁句を言わないで下さいよ?

