「おいおい、気を失うのはまだ早ぇぞ?」
私に刺さった宝剣を掴むと、ゆっくりと動かし始めた男。
剣が動く度に引き攣る傷口が悲鳴を上げて、失いかけていた意識が強制的に引き戻される。
「──っう・・・」
「今から、おねんねされたら困るんだよ」
痛みに呻く私を視界に捕らえると、ゆったりと口の端を上げて面白そうに笑う男。
苦痛の涙で滲む視界は、男の動く手を無意識に追っていた。
「急がなくても、明後日には永久におねんね出来る。
それまでは、これを飲んでもらわねぇとな?」
懐から取り出したのは、小さな赤い小瓶。
中には液体のような物が入っていた。
「それは、何ですの?」
男の手にある小瓶を、興味深げに覗き込むオリビア様。
「これがねぇと、この女の体とお前の娘の魂が馴染まねぇんだ」
そう言って、二本の指で摘んだ小瓶を揺らすと、中の液体がチャプンと音を立てた。

