忘れるはずもない、真っ赤な短髪に鋭い闇色の瞳。
男の父親に両親を殺されて、この冷徹な男には命を狙われ続けていた。
---何で、この男とオリビア様が?
もう、殆ど力が入らないこの体では逃げる事も、精霊を呼び出す事も出来ない。
「やっと、捕まえた・・・手間掛けさせやがって」
そう言って、私の髪の毛を一房掬うとグイッと自分の方に引き上げた。
「・・・いっ・・」
頭が持ち上げられたせいで、上半身が動いて剣が刺さったままの傷口に激痛が走る。
あまりの痛さに、思わず息を止めてしまう。
「大人しくしていれば、こんな痛い思いを何度もしなくて済んだのになぁ?」
いきなり髪の毛を離されて、力の入らない体はその体制のまま崩れ落ちた。
「ちょっと!体には、これ以上傷をつけないでと言ったでしょう?!
娘の新たな器になるのだから大切に扱って!」
オリビア様の声が遠くで聞こえたような気がしたけれど、もう意識を保っている事が出来なくて重い瞼をゆっくりと閉じた・・・

