「王子っ!!」


「兄さんっ!」


まだ、目覚めたばかりでボーっとしている王子に声を掛けるけど、全く反応が無い。

異変に気付いたルイスが王子を診ていくと


「これは・・・」


傷口があった箇所を見て眉間に皺を寄せた。


「ルイス?どうした?」


口を噤んでしまったルイスに問いかければ


「ロック様の傷口は塞がりましたが・・火竜の毒は消えていません」


未だに青褪めている王子の脇腹に視線を向けると、傷口があったであろう箇所には紫色の痣が残っていた。


「火竜の毒って・・・」


きっと、そこに居た全員が絶望に近い感情だったと思う。