口から血を吐き出して、崩れ落ちていく男。
手にしていた短剣は、祭壇脇に転がっていた。
急いで祭壇に向かっているが、それでもまだ距離がある。
「姫さん、生きててくれよ?」
倒れたままピクリとも動かない姫さんは生きているのかすら、此処からじゃ確認出来ない。
焦る気持ちを抑えながら、全速力で祭壇までの階段を駆け上がる。
あと少し・・・
階段を駆け上がっている途中で、祭壇で動く何かが視界の端に映った。
---何だ!?
思わず、足を止めて祭壇を凝視すれば・・・
「オリビアッ!!!」
姫さんに近付くオリビアの姿だった。
俺の声に振り返ったオリビアは、口の端を引き上げると
「あら、ヴァイス様。彼女は頂いて行きますわね」
「姫さんを、どうするつもりだっ!!」
俺の問いに答える事無く、呪文を呟くとオリビアと姫さんを黒い霧が覆い始める。
「待てっ!!」
「祈りの儀式に間に合わなかったと言う事は、ロック様もあちらで苦戦しているのかしら?」
---苦戦?何の事だ?
意味ありげに含み笑いをすると、祭壇に埋め込まれていた石が黒い霧を吸い込み始め、真っ黒な石に変わった。

