鍛錬場に着けば、騎士団の騎士達が既に汗を流していた。


「おはようございます!」


「・・・あぁ」


「はいはい、おはよ~」


俺達の姿を見るなり挨拶をしてくる騎士達に軽く挨拶をして、俺とヴァイスも加わって稽古を付けていく。


その稽古も一通り終わって、少し休憩していた時。

徐にヴァイスと数人の部下が、俺の回りに集まった。


「団長! やっぱり止めましょうよ!」


「何だ」


何か言おうとしているヴァイスを、部下たちが止めに入るから先を促せば


「いや~、俺なりに考えたんだけどよ~。王子様の不眠症を治す方法!」


「・・・・・」


不眠症を治す方法?

ヴァイスの部下達の反応からして、きっとろくでもない事なんだろう。


「そんな顔すんなよ~」


俺の顔を見たヴァイスが、人差し指で頬を突いてくる。


「どうせ、くだらない事考えてるんだろ?」


「いんや! 至って真面目よ~」


「言ってみろ」


俺の了承に、待ってました! と言わんばかりにコクコクと頷くヴァイスは


「きっと、王子様は欲求不満なんじゃね~の?」


にやりと口角を上げた。


「あ?」


ケケケッと、ネコ目で厭らしい笑みを浮かべながら言うコイツをぶん殴ってやろうか。


「「「団長~! もう止めて下さい!」」」


ヴァイスの部下達が、必死こいてそれ以上言わせないように羽交い絞めにする。


「もががぁ~!!」


「ロック様。今のうちにっ!!」


副団長のレイが、ヤツの口を塞ぎながら俺を見るが、鼻まで塞いでいる事に気が付いていないのか?


「・・・・・」


まぁ、いいか。

これ以上ここに居ても煩いから、白目をむいて悶絶しているヴァイスを横目に部屋へ戻る事にした。


「んむぅ~~っ!!」


「レイ。そいつ、白目むいてるぞ」


騎士団長に死なれても困るから、一応、一言伝えてから鍛錬場を後にした。