─────翌朝



目が覚めたのは、まだ朝日が昇る前の4時過ぎ。

意識していないつもりでも、あの女が同じ城に居ると思うだけで眠れない。

眠気は完全に吹き飛び、もう一度眠る事を諦めた俺は体を起こした。

隣を見れば、まだぐっすりと眠っているフローラ。


それを確認してから、そっとベッドを出る。


テーブルに用意してあったガラス製の水差しの取っ手を持ち、
グラスに水を入れて一気に喉へ流し込んだ。


ソファーに凭れ、目を閉じれば脳裏にあの女の顔が浮かんでくる。


「くそっ!」


イラついて、思わず声が出た。


「・・・ん」


俺の声に反応したフローラが、もぞもぞと動き出し


「ロック・・・?」


薄らと開いた空色の瞳が瞬きを数回繰り返し俺を見る。

目を擦りながら体を起こしたフローラが部屋の時計を確認すると


「眠れないの・・?」


心配そうに聞いてきた。


そのまま、起きて来そうな雰囲気に、ソファーを立ち上がり
苦笑いを浮かべながらベッドの端に腰を下ろす。