「フローラ!!?」


俺が目の前にいるのに一目散に狼に駆け寄るフローラ。


「フローラ!!!」


「シエルッ!」


大きな声で呼んでいるのに、まるで俺の声なんて聞こえていないかのように狼に抱きついた。


「今、傷治すからっ!!」


<いや、それよりも早く逃げろ・・・>


何だ・・・?今の声は、あの狼の?


<来るぞっ!!>



・・・ドゴォォォ---ン


「きゃっ!」


森の中から閃光が放たれた次の瞬間には轟音と共にフローラが弾き飛ばされた。


「フローラ!!!」


吹っ飛んだフローラに駆け寄ろうと足を踏み出した時。


「逃がさねぇよ?」


閃光が飛んで来た方角からローブを深めに被った男が現れた。


その右手には長剣が握られていて、フローラに近付いてくる。

フローラは吹き飛ばされた衝撃で動けないでいた。


「やめろっ!!」


男とフローラの間に入って呪文を唱え始める。


『我が手に宿りし力を解放し すべてを切り裂く光の刃となれ!!』