派手な女とダンスを踊り始めたニコルから視線を外して王子を探せば
既にこのホールから出ようとしているのか出口に向かって歩いていた。
---えっ、もう出ちまうの?
二人共まだ飯食ってねぇじゃん!
俺も食ってないんだけどっ?
この豪華な食事をしないで何処に行くのさ?
後ろ髪を引かれる思いで俺もホールを後にした。
今日はいつも以上に人通りが多くて、城の警備も騎士の数を三倍に増やして細心の注意を払っているが気は抜けねぇ。
すれ違う騎士達と軽い挨拶をしながら王子達の後を足早に追いかける。
普段なら大声で叫んで走っても気にならないけど流石に今日の雰囲気では、それは出来なかったんだけど・・・
やっと前方に見えた二人の姿に思わず「王子~」と叫んでいた俺。
振り向いてくれた姫さんだけど、聞こえている筈の俺の声を無視してスタスタと歩き続けている王子に腰を引かれているから止まる事が出来ない。
---無視すんじゃないよっ!
「ちょっと王子!聞こえてたでしょ~がっ!」
結局、走って追いかけた俺は王子に文句を言ったのに
「知らん」の一言で片付けられてしまった。

