「密・・偵?」
---密偵って事は、私が此処に居る事をあの男に知られているって事?
何も言わずに、にっこりと笑顔を見せたライラさんを直視出来なかった。
あの男に私の居場所が知られているのなら一刻も早くこのお城を出て行かなくちゃならない。
私の為にロックやお城の人達を巻き込む事は出来ないから。
ロックに再会したあの日・・・
私に怪我を負わせて執拗に追いかけてきた魔法使いの男。
生け捕りにされそうになって必死に逃げたのに、もう居場所を知られているなんて
「そうよ。化け物を捕らえるには準備をしなくては逃げられてしまうでしょ?」
「化け物って・・・」
「怪我しても直ぐに治ったり、その血で瀕死の者を助けたり出来るなんて人間じゃないわ・・・化け物よ」
ライラさんの言葉に体がガタガタと震えてきた。
お父さんとお母さんをあの男の父親に殺された時の記憶が蘇って来る。
「じゃあ、あなたも密偵なの・・・?」
魔法使いの男の事を「あの方」って言ってたし、このお城に密偵が居る事も知っているなんて仲間としか思えない・・・。
震える体を両手で押さえながらライラさんを見ると
「私は、あの方をお慕いしているの」と妖艶な笑みを浮かべた。

