なんだ、今の? 心臓の辺りが大きく脈を打った。 「え?ど、どうかしました…?」 彼女は俺の顔を覗き込む。 「あ、いや、それより、手」 「い、いえっ!大丈夫なんでっ!ごめんなさい!」 彼女はパッと立ち上がり、何故か謝る。 「いや、俺の方が悪かったし…」 「いえっ、私も前を見ていなかったんで」 彼女が動いた瞬間、ふわっと香る甘い香り。 「じゃ、じゃあ…」 「あ、…悪かったな」