ドンッと言う音と共に胸に走る痛み。 「いってぇ…って、ぅわっ」 目の前には顔は俯いて見えないが、確かに人が尻餅をついていた。 「い、たた…」 彼女から洩れる声は、高く、可愛らしいものだった。 ハッと俺は今の現状を整理すると、自分が悪い事に気付く。 「おい、悪い、平気か?」 人が行き交う中、そんな事を言いながら彼女に手を差し伸べる。 「あ、いえ」 俯いていた彼女が顔を上げる。 「ん?」