君の「好き」が欲しいだけ







知らなかった、花の体温。


香り、柔らかさ。






全部、全部、知らなかった。





こんな形で、初めて知ったなんて何かが、何かが、悲しい。









「……じゃあな」







俺は花にもう一度キスをして、空き教室を出ようとドアに手をかけた瞬間。







チャックが開いている鞄から、思い切り携帯の着信音が響いてしまった。






…メール…?



ってか、花が起きるっ…!




俺は慌ててまだ鳴っている携帯を握り締める。


それと同時に鳴り止んだ音。






ソッと花の方を見る。