辺りを見渡すと、そこはさっきいた場所からちょっと離れている住宅街だった。
「………」
私は鞄から携帯を取り出して、時間を見る。
空はもう夕日が沈もうとしていた。
私は携帯をしまって、そこから家へと向かって歩き出した。
何も考えないように。
別にどうでもいい事ばかり考えて、気を紛らわす。
目から出てくる涙には、少し歩いてから気づいた。
携帯の着信音が鳴り響く。
静かな住宅街には、少し大きく聞こえた。
私はその携帯を無視して、歩き続けた。
今でても、きっとややこしい事になる。
修哉だったら当たり前で。
他の人でも、きっと声が震えてなんで泣いてるの?ってなる。
もう、面倒臭い。

