「この高校って、あたしのお母さんの母校なんだ。お母さん、ここでお父さんと出会ったんだって」

「へー。今もラブラブなの?」

「……死んじゃったの、2人とも。あたしは一人暮らし中」

「……大変だな」

「あははっ! そういう風に返してきたの、あんただけだよ。みんな“ごめん”って謝ってくるしっ。


……2人にとって、きっと大事だったんだと思う。だから、あたしはこの桜の木が好きなんだ」

「そっか」

そう優しく笑った相原。

その笑顔に、胸がトクンと鳴った。

「……ねぇ、隣、座ってもいい?」

「ぷっ。どーぞ?」

あたしは、ゆっくりと、相原の隣に座る。

今まで下に視線を移してたからか、座るとわかる。

相原は、あたしよりもずっと背が高くて、視線は自然と上にいってしまう。

「ん?」

そう相原が優しく笑ったとき、なぜか……


笑う相原が、寂しそうに見えた。