【完】999本のバラを君に。







「だ、だって、梨華が、部屋に誘われたら気をつけた方がいいよって……」

「気をつけた方がいい? なにそ……なるほど、な」

理解をしたのか、翔太は「ったく」と呆れたように呟いた。

「そういう意味で誘ってたわけじゃねーよ」

「図書館で『なにもできないじゃん』って言ってたじゃん!!」

「それはお前……なんもできねーじゃん」

「はぁぁ?」

「……中坊かお前は」

「なっ」

「男だったら、好きな女にキスぐらいしたくなんだよ。……て言う俺も中坊だと思うけど」

耳まで、顔をまっ赤にして言う翔太。

「……つ、つまり?」

「真優とキスしたかっただけ、です」

「ほ、ほんとに?」

「嘘もくそもあるか。学校でするわけにいかねーし、ましてや、図書館なんていう公衆の面前でするわけにもいかないだろ」

「……学校ではするじゃん」

「いや、そーいうキスじゃなくて、さ……」

翔太は「鈍感」と呟いてあたしの手を握った。