「だ、だって、梨華が、部屋に誘われたら気をつけた方がいいよって……」
「気をつけた方がいい? なにそ……なるほど、な」
理解をしたのか、翔太は「ったく」と呆れたように呟いた。
「そういう意味で誘ってたわけじゃねーよ」
「図書館で『なにもできないじゃん』って言ってたじゃん!!」
「それはお前……なんもできねーじゃん」
「はぁぁ?」
「……中坊かお前は」
「なっ」
「男だったら、好きな女にキスぐらいしたくなんだよ。……て言う俺も中坊だと思うけど」
耳まで、顔をまっ赤にして言う翔太。
「……つ、つまり?」
「真優とキスしたかっただけ、です」
「ほ、ほんとに?」
「嘘もくそもあるか。学校でするわけにいかねーし、ましてや、図書館なんていう公衆の面前でするわけにもいかないだろ」
「……学校ではするじゃん」
「いや、そーいうキスじゃなくて、さ……」
翔太は「鈍感」と呟いてあたしの手を握った。

